本シンポジウムでは、「性的マイノリティの『当事者』とは誰か」という問いを起点に、心理学における当事者性の概念を再考する。従来、当事者性は性的指向や性自認といった個人の属性に基づき定義されることが多かったが、そのような理解は、当事者性を一義的かつ不変のものとして扱い、多様な経験や関係性を見落とすおそれがある。本企画では、当事者性を固定的な属性ではなく、社会的文脈や相互行為の中で構築される心理学的概念として捉え直すことを目的とする。まず、人間性心理学の視点から、lgbtq+当事者の語りにみられる主観性や自己決定の重視に着目し、性別二元論や異性愛規範に対する批判的立場を通じて、当事者性がどのように形成されるのかを理論的に検討する。次に、社会心理学的視点から、「非当事者意識」が偏見や差別の温存、問題の不可視化にどのように関与しているのかを明らかにし、マジョリティ側にも当事者性が問われる必要性を論じる。さらに、心理支援の実践現場において、支援者の立場性が語りや関係性の中で揺れ動く様相を取り上げ、当事者性が実践の中で相対的かつ動的に構成される過程を具体的に示す。
Osaka et al. (Wed,) studied this question.