手術部位感染を予防するためにドレープが用いられるが,ドレープのズレによる手術部位への微生物の移行を避けるため,牛以外では粘着性ドレープが使用されることが多い.一方で牛では完全な不動化の下で行われる手術はまれで,市販の粘着性ドレープでは皮膚への密着性が不完全であり,大きさや価格面からも汎用されていない.本研究は術野消毒後,切開予定ラインを囲むようにボンドを塗布してボンド枠を作製し,その上から紙製無窓滅菌ドレープを貼り付けドレープを不動化させた,「ボンドによる滅菌ドレープ貼り付け法(D-by-B法)」を考案し,その術前消毒状態の維持効果を,従来のタオル鉗子で固定するドレープ法(D法)と比較し検討した.第四胃左方変位(LDA)に対する起立位右膁部開腹手術(ハノーバー法)26頭の内,D-by-B法21頭(RGU:酪農学園大学7頭,THMS:トータルハードマネージメントサービス14頭)とD法5頭(RGU5頭)とで細菌学的に比較した.細菌学的検査は術前術後において,手術部位周辺およびボンド枠内で体表スワブを採材し,血液寒天培地で37°C,48時間で好気培養後,菌の増殖を認めたものを検出,認めなかったものを非検出とした.消毒後,術前術野での細菌検出率は両法とも0%であったが,術後術野のD法では100%,D-by-B法ではボンド枠内で23.8%,および枠外で47.6%であった.フィッシャーの直接確率検定を用いた結果,術後の術創周囲において,D法と比較し,全D-by-B法(p = 0.0038)およびRGUのD-by-B法(p = 0.0278)は細菌検出率が有意に低かった.このことからD-by-B法はD法よりも手術切開線に近いボンド枠内では術中に術前の状態を有意に維持できるが,切開線から離れたボンド枠外では維持困難だった.また,D-by-B法では無窓ドレープ貼付後に切開予定ラインを確認しやすい利点も示唆された.
Abe et al. (Wed,) studied this question.
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