症例 1:17 歳,女性。1 歳頃の歩行開始時期より手足に水疱形成を繰り返していた。水疱は軽微な刺激にて誘発されるが,瘢痕を残さず治癒していた。症例 2:39 歳,男性。症例 1 の父親である。幼少期より手足に水疱形成を繰り返し,症例 1 と同様に瘢痕を残さずに治癒していた。この家系には大祖母,祖母,叔父など,複数の親族に同様の症状が認められた。病理組織学的所見では,症例 1 は表皮内,症例 2 は表皮真皮境界部に水疱を形成し,いずれも真皮浅層にリンパ球などの炎症細胞浸潤を認めた。蛍光抗体はいずれも陰性であった。家系図から常染色体顕性遺伝が疑われ,遺伝子検査を実施したところ,症例 1 および 2 の両者においてケラチン 14 遺伝子(KRT14)に変異を認めた。これらの所見を基に,単純型表皮水疱症(epidermolysis bullosa simplex,EBS)の父子例と診断した。EBS は常染色体顕性および潜性の遺伝形式をとることが知られているが,常染色体顕性遺伝型では,ケラチン 5 遺伝子または KRT14 にヘテロ接合性の遺伝子変異が高頻度に認められる。出生直後や幼少時期には臨床症状が完成していないことが多く,臨床症状のみで病型を診断することは極めて困難である。そのため,慎重な経過観察が必要であり,家族内発症頻度の把握や,出産に対する両親への遺伝カウンセリングが重要である。今後さらに遺伝子診断の重要性が高まると考えられる。
NARUTOMI et al. (Sun,) studied this question.