自閉スペクトラム症 (Asd) 児者はノイズ下での言語聴取が困難である。ノイズ下での言語聴取困難は学習の困難や社会的機能の低下など,様々な困難を引き起こし,困り感を高める可能性があるが,背景要因についての検討は十分に行われていない。本発表では,ノイズ下での言語聴取困難の背景要因として,asd児者の注意が音声より非音声に向きやすい非音声刺激への注意バイアスと,過去の経験で学習した事前情報の活用の非定型さである事前情報の活用困難の2つのasd特性に着目し,これらの特性とノイズ下での言語聴取困難との関連についての研究成果を報告する。音声及び非音声ノイズ下で単語聴取を求めた実験では,asd傾向が高い一般大学生やasd児で,ノイズの種類に関わらず言語聴取困難が確認され,非音声刺激への注意バイアスとの関連は示されなかった。事前情報の活用困難と言語聴取との関連については,一般大学生対象の,高親密度語の聴取を求める実験では関連が示唆された。しかしその後,一般成人対象の,高親密度語及び低親密度語を用いた実験では関連は確認されず,条件の統制や,妥当性の高い測定方法を用いる必要性が示唆された。
Tsuji et al. (Wed,) studied this question.