東京電力福島第一原子力発電所事故(福島原発事故)から14年が経過し、復興の進展が様々に報じられる一方で、復興の進展そのものが特定の地域住民にとって新たな喪失体験をもたらしている。本企画では、放射性物質除染作業(除染作業)が産生した放射性廃棄物の中間貯蔵施設が設置された立地自治体に焦点を当てる。原発事故以来、生活圏の放射線量を低減するための除染作業は復興の起点として位置づけられてきた。しかし除染によって生活環境の再建が進んだ結果、中間貯蔵施設のために自らの土地を提供した住民たちは、慣れ親しんだ景観の毀損や、返還の見通しの不鮮明さに直面し、かえって「復興から遠ざかる」という逆説的状況に置かれている。折しも除染土壌の再生利用に関して、福島県外への持ち出しに対する忌避的・嫌悪的な反応が報じられる中(福島民友、4月12日報道)、このような「取り残され感」あるいは「疎外感」とも言うべき状況に対して、心理学が果たすべき役割は何か。本研究は、当該住民らへの継続的な調査に基づき、その経験の内実とこころのゆれを理解するとともに、より広い視野での心理的支援の可能性を検討する。
Hidaka et al. (Wed,) studied this question.