要旨 【背景】 市中発症メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症のうち,白血球を破壊する毒素Panton–Valentine leukocidin(PVL)産生株の報告が増加している。 【症例】 生来健康な,税関職員として日常的に海外からの渡航者と接していた40歳代の男性が,全身筋肉痛と発熱を主訴に近医を受診し,肺に多発結節影を認め肺炎と診断され,抗菌薬治療目的に入院した。入院翌日ショックとなり,精査加療目的で当院へ転院した。来院時,頻呼吸,頻脈,血圧低下,全身に網状皮斑を認めた。血液検査で乳酸アシドーシス,PaO 2 低下,血球減少,凝固異常を認めた。胸部単純CT検査で両側肺野に空洞病変を伴う多発結節影を認め,喀痰・血液培養からMRSAが検出された。壊死性肺炎を伴うMRSA菌血症,敗血症性ショックと診断し,人工呼吸管理,持続的血液透析濾過療法を含む集中治療を行った。経過中,多発筋内膿瘍も出現し,長期抗菌薬投与と膿瘍ドレナージを要したが,第128病日に独歩退院した。遺伝子解析で本株のMLST型は家畜関連MRSA(LA–MRSA)との関連も疑われるST1232で, pvl 遺伝子陽性と判明し,日本では報告が少ない型であった。 【結語】 遺伝子解析は病態理解や特定の遺伝子変異をもつ病変に対しての効果的な薬の使用などの治療選択に加え,感染経路特定など感染症対策にも寄与する可能性がある。
由芽 et al. (Sun,) studied this question.