近年増加している中国系ニューカマーは,日本各地でエスニックな都市景観を形成している。大阪市心斎橋地区もその一つであり,中国系店舗の増加が顕著である。本研究は,同地区で就労する22名の中国系ニューカマーへの聞き取り調査を通じて,彼らの居住パターンとコミュニティの特徴を明らかにすることを目的とする。結果として,心斎橋地区は中国系店舗が集積するエスニック・ビジネスの拠点となっているものの,店舗間や他エスニック集団との連携が希薄であり,従来の中華街とは異なる特徴を持つことが確認された。また,高地価の影響で「職住一体」の形態はほとんどみられず,ニューカマーは周辺地域に分散して居住している。彼らの社会関係は,同胞よりも家族を中心とする傾向が強く,snsを通じた情報交換や相互支援が重要な役割を果たしている一方で,対面的なつながりは限定的である。これらの特徴は,エスニック集団がホスト社会に同化される過程を説明する空間的同化論では捉えきれない。むしろ,地理的な集中によらず,緩やかなつながりと情報技術を通じてコミュニティが形成されることを強調するヘテロ・ローカリズム論が,心斎橋地区の中国系エスニック・コミュニティの現状を説明するうえで,より有効な概念だと考えることができる。
Zihao Wang (Thu,) studied this question.