企業は利潤の追求だけでなく,その活動により社会的課題を解決することが求められている。企業の持続可能性とは,社会および環境への配慮を重視し,経済的な目標と社会的な目標とを遂行することである。しかしその実行には,企業は互いに矛盾する可能性のある複数の要求に対処する必要がある。この相矛盾する目標遂行という問題はパラドクス問題として長年経営学で捉えられており,マーケティング視点からの研究蓄積がある。しかし現実には社会貢献活動を一過性の宣伝として扱う傾向が強く,企業の事業運営の中に社会的価値を深く根付かせられないという現状がある。本稿で取り上げるレザーグッズ・ブランド,andu amet社は,原材料の調達から縫製までのすべてをエチオピアで行い,社会的大義を大きく訴求するのではなく,製品の持つ価値を訴求することで社会的価値と経済合理性を両立させるビジネスモデルを作り上げた。本稿ではこの両立を可能にする要件や実践力を確認するとともに,今後のビジネスモデルの拡張性について述べる。
Nishioka et al. (Mon,) studied this question.