現代では心理療法が前提とする内省的な主体をもたないクライエントが増加している。この変化の中で,現代の罪悪感は他責的な迫害的罪悪感が主要となり,関係性の維持を重視し,正当な自己主張にも罪悪感を抱くようになっている。本研究では,現代の罪悪感が関係性の維持の傾向を持続させるプロセスへの理解を深めるために,強迫的な償いの性質について考察した。文献研究の結果,強迫的な償いには,不快感や不安を打ち消し,万能的にコントロールしようとする性質,対象への万能的で偽りの補償と対象への罪悪感の押しつけから構成される対象をなだめようとする性質と,妄想分裂ポジションと抑うつポジションの間のポジションを取ることで対象との関係性が固定化される性質があることが明らかになった。さらに強迫的な償いは無意識的空想により,「なだめる」「ゆるす」関係を維持することが明らかになった。本研究は現代の罪悪感の理解に貢献するものである。
源 鍵本 (Thu,) studied this question.