自然分娩で出生した31日齢の交雑種雄子牛が食欲不振を主訴に受診した.第8病日に頚部を伸長した努力性呼吸を呈し,喘鳴および左右頚静脈の怒張が認められた.血液検査において,好中球増多およびa/Gの低値は認められず,細菌感染,炎症は示唆されなかった.これらの検査値の異常を伴わない症例が報告されている喉頭膿瘍の可能性を考慮して,抗生剤および副腎皮質ホルモンを投与したが,喘鳴は改善せず,食欲はさらに減退した.症例は自家廃用となり,病因究明のため第21病日に東京大学動物医療センターへ搬入された.鎮静下で膣鏡を用いて開口し,咽喉頭を直接観察したところ,喉頭蓋および披裂軟骨の発赤,腫脹は認められなかった.ct検査では左第1~4肋骨および右第1, 2肋骨における骨折と不正癒合が認められ,骨折部位において気管が狭窄していた.病理解剖ではct検査で認められた肋骨骨折,気管狭窄および右肺前葉前部と右肋骨骨折部の癒着が確認され,その他の異常は観察されなかった.以上の所見より,本症における喘鳴の原因は左右第1, 2肋骨骨折の不正癒合による気管の圧迫であったと考えられた.本症例は自然分娩で出生したが,肋骨骨折が両側性であったこと,その他の外傷が認められなかったこと,さらに発症日齢が既報に類似していたことから,分娩に起因した肋骨骨折であったと考えられた.分娩時の肋骨骨折は過度な牽引により引き起こされると考えられているが,自然分娩で出生した子牛においても,肋骨骨折による気管狭窄を否定できないことが分かった.
Maezawa et al. (Wed,) studied this question.
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