2011年の東北地方太平洋沖地震による津波で被災した石巻市本庁地区(牡鹿半島西側の仙台湾に面する平野部)に居住する1,108人の避難行動トリップデータを,既存のデータベースを活用して作成し,時系列で分析した.本庁地区は大津波の発生頻度が低い平野部に位置する一方で,リアス海岸地域と隣接しているという特異性を有している.そこで,石巻市以北のリアス部および以南の平野部のデータも分析・比較することで,本庁地区の特徴を明らかにした.その結果,1 本庁地区では,リアス部,平野部と同様に,多くの住民が「地震の揺れ」をきっかけに避難を開始するが,その後,「津波の切迫」に関する情報をきっかけとした避難が顕著に増加していた.2 移動手段を見ると,本庁地区では渋滞への懸念から自動車による避難が早く始まり,「津波の切迫」の段階では渋滞のため自動車による避難は放棄され,徒歩避難が急増した.3 ここに,「津波の切迫」情報とは,先行して大津波が来襲したリアス海岸部の様子をラジオ等が伝えたものであり,実際に危機的状況が発生していること,それが隣町の女川町にも及び,深刻な状況となっていること,そして気象庁が津波の予報高さを10 m以上に引き上げたことなどである.これらの情報により住民の危機感が一気に高まったと推測される.4 一方,自宅から直接避難した住民の行動を分析した結果,本庁地区では地震直後に「津波が来る」と思った人たちの避難開始が,津波を想起しなかった人たちより遅れる傾向にあった.本庁地区はリアス地域に隣接して人的・文化的交流があり,津波をよく知る住民が他の平野部より多い.しかし,それらの住民には,自らが津波低頻度地域にいるという認識もあり,実際に避難が必要となる大津波が来るのかを見極めようとした結果,避難開始が遅れたと推測される.
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Yozo Goto (Thu,) studied this question.
synapsesocial.com/papers/69a286da0a974eb0d3c021e6 — DOI: https://doi.org/10.5610/jaee.26.1_50
Yozo Goto
Toranomon Hospital
Journal of Japan Association for Earthquake Engineering
Toranomon Hospital
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