近年,人々の生活の質を高めることを目的に,行動変容やウェルビーイング向上をめざしたデザインや情報技術が注目されている。これらの取り組みは,心理学や行動科学の知見を基盤とし,個人の認知,感情,行動の理解と変容を支え,人間中心の支援を志向する。この潮流は,公共領域にとどまらず,企業におけるサービス開発や価値創造にも広がりを見せており,学際的かつ実践的な展開が進みつつある。本企画では,こうした取り組みの実態に迫ると共に,実務の視点から見た応用展開への課題や,倫理的・社会的側面からの配慮点について多角的に議論する。工藤からは,社会的ジレンマに関する心理実験データを機械学習し,行動変容を担う実務者の意思決定を支援する予測モデリング技術について報告する。桑原からは,行動科学に基づく行動デザイン手法とその実装事例,ならびに行動変容の実証結果について紹介する。唐沢からは,アーバン・ウェルビーイングの取り組みに加え,心理学の知見をデザインや技術として実装する際の社会受容性や,elsi(倫理的・法的・社会的課題)について議論する。より良い社会の実現に向けた心理学の貢献を再確認し,今後の方向性を考える機会としたい。
Kudo et al. (Wed,) studied this question.