日本国内の主食用米の需要が低迷する一方で,気候変動や社会情勢により米の生産や供給が不安定になる事象も起きている.そのような中,水稲作付面積は減少傾向にあり,生産性の向上には多収品種の導入が不可欠である.また,日本農業の持続的な発展のためには,米の輸出拡大は重要な課題である.著者らは,多収と良食味性を兼ね備え,輸出にも向く水稲品種「シャインパール」を育成した.「シャインパール」は2009年,中晩生で多収,良質な「西南136号」(後の「なつほのか」)を母,早生で良食味の「越南227号」を父として人工交配した組合せから育成し,2022年4月に品種登録出願を行った.「シャインパール」は福井県では“中生”に属し,「コシヒカリ」より稈長は22 cm短く,千粒重は2.5 g重く,1.9 mmで篩った玄米重は標肥区で「コシヒカリ」対比23%,多肥区で「イクヒカリ」対比4%多収である.玄米のタンパク質含有率および白米のアミロース含有率は「コシヒカリ」並み,食味官能試験における総合評価は「コシヒカリ」と同等で,香港およびシンガポールの実需者からも高評価を受けている.倒伏抵抗性は“強”であるが,葉いもちおよび穂いもち圃場抵抗性はいずれも“やや弱”であるため,栽培上は注意が必要である.「シャインパール」は2024年度に福井県でおよそ880トンが生産され,全量が輸出された.輸出用米は転作作物として扱えることから,水田機能を維持しながら,多収で生産コストを低減できる「シャインパール」を転作体系に組み込むことで,福井県内の安定した水田農業経営の実現に資することが期待される.
Kobayashi et al. (Thu,) studied this question.