新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の流行は,従来からの飛沫感染,空気感染という枠組みを変えた.精緻な観測技術がなかった1900年頃に成立した飛沫感染という概念に対し,現代の観測技術では微小な感染性粒子の動態を観察することができる.呼吸器から発生する粒子の大きさは連続的であり,個々の粒子は発生した瞬間から蒸発し徐々に飛行から浮遊へと連続的に変化していく.あらゆる呼吸器感染症病原体がどの形態でも感染する側面をもっている.これらの事実に基づいて,飛沫,飛沫核(空気感染)という言い方をやめ,感染性呼吸器粒子(IRP,infectious respiratory particles)と総称することが議論されている.その上で,IRPの粘膜面への「付着」による感染が起こりやすいか,空気中をただよう粒子の「吸入」で拡大しやすいか,によって感染対策を検討していく必要がある.医療現場はバイオエアロゾルの発生源が多く,外気を取り入れた換気構造になっていない.いわゆる三密環境の代表的場面である.バイオエアロゾルの発生を最小限とするとともに,バイオエアロゾルから職員や患者の安全を守ることが肝要であり,陰圧空調の活用,ワクチン接種や感染者の早期診断,早期治療を総合的に行うことが必要である.
Hideaki Kato (Thu,) studied this question.