本稿は,以下に示す文献の英訳・修正版である。英訳・修正版を作成した理由は,次の通りである。①日本の大学生の就職活動(学校から職業への移行)は,間断がないという意味で世界的に希有な特を有し,新規大卒労働市場という特異な労働市場を形成しているが,その特徴を外国語で簡潔に説明した文献が乏しい。②それ故に,国際的に研究者間で新規大卒労働市場が制度として十分に理解されていない。本稿は,これらの問題の解決を図る一助として作成されたものである。第1節では,新規大卒労働市場の特徴の整理と今後の変化の方向性について議論する前に,高等教育と労働市場の関係を理論的に把握する。教育の需要者である学生が新規大卒労働市場において求職者(労働供給)に変わる過程を説明している。第2節では,間断のない学校から職業への移行を国際比較の視点から把握する。諸外国にはない新規大卒労働市場の利点と欠点が浮き彫りになる。第3節では,日本の大学生の就職活動の歴史と現状を整理する。戦後の高度経済成長,バブル経済崩壊,リーマンショックなど日本経済の浮き沈みと日本的雇用慣行の形成・変遷と関連付けながら大学生の就職活動の変遷をたどっている。第4節では,求職者(大学生)の視点からみた新規大卒労働市場のメリット・デメリットを解説している。最終節の第5節では,新規大卒労働市場に関わる諸問題,すなわち,教育政策と労働政策の社会政策としての融合,労働市場における学歴ミスマッチの是正,Evidence Based Policy Making の必要性を指摘する。
Tomotaka Hirao (Sat,) studied this question.