要旨 【目的】 南海トラフ地震や首都直下地震では,数千人から数万人規模の熱傷患者が発生すると想定されている。 【方法】 日本熱傷学会は,全国の救命救急センター,熱傷専門医認定研修施設,基幹災害拠点病院の306施設を対象に,2023年10月から4か月間にわたってウェブアンケートを実施し,多数の熱傷患者が発生した場合の熱傷診療能力(サージキャパシティー)について調査した。 【結果】 212病院から回答を得た。2024年1月現在,熱傷初期診療が受けられる熱傷患者数は全国で1,720人,後方搬送により集中治療が受けられる重症患者数は356人であった。しかし想定される熱傷患者数はこれをはるかに上回る。また熱傷患者数は近年減少傾向にあるため,災害医療の第一線で活躍する救急医が熱傷診療に携わる機会も減少しつつあり,それも懸念事項である。 【結語】 平時から熱傷診療に携わる機会を確保し,救急医や形成外科医だけでなく,多くの医師が災害時の熱傷診療に従事できるようにすること,診療ガイドラインや標準化コースなどを活用して熱傷初期診療を普及させること,熱傷専門医の数を増やし地域偏在を解消すること,そして全国的なネットワークを強化することは,災害時に熱傷診療ができる医師と病院を増やし,サージキャパシティーを拡大することにつながる。この取り組みを進めるためには,熱傷診療についてのさらなる啓発と普及を,平時からの備えとして行うことが特に重要である。
雄太 et al. (Mon,) studied this question.