背景.原発性肺癌において,画像検査機器の発達により開胸時に悪性胸水や胸膜播種を認める症例は比較的まれとなっている.粘液産生腫瘍の粘液塊が胸腔内に露出した原発性肺癌の手術例を経験した.症例.77歳男性.X年8月に健診で胸部異常影を指摘.CTで左S8に最大径68 mmの充実性陰影が認められた.近医で経気管支肺生検を施行され,腺癌の診断.精査でリンパ節転移や遠隔転移は無く,経過中に明らかな胸水の出現なども無かったため,左肺癌cT3N0M0に対して手術を施行.胸腔内に胸膜播種,胸水は無く,開胸時洗浄細胞診は陰性であった.左S8にインデントを伴う腫瘍が存在し,横隔膜面に黄色の粘液塊を認めたが,吸引しても付着して外れなかったため,型通り左下葉切除を行った.迅速組織診で気管分岐下リンパ節に転移を認め,リンパ節郭清は2a-2群とした.手術時間は2時間48分,出血量は10 ml.病理結果は浸潤性粘液性腺癌成分を伴うコロイド腺癌で,コロイド腺癌の粘液塊が胸膜表面に露出していた.結論.粘液塊が露出した原因として経気管支肺生検による胸膜損傷または腫瘍の臓側胸膜浸潤が疑われた.
Sezaki et al. (2026) studied this question.