消費者研究では,被験者の心理状態が目的変数に与える影響を検証するために,刺激の介入によって被験者の心理状態を操作するランダム化比較試験(rct)を行うことが多い。ここでの関心は,介入(刺激)自体の効果ではなく,介入の結果生み出された状態の違いが目的変数に与える影響である。したがって,介入が意図された心理状態の違いを被験者にもたらしたかを確認するために,マニピュレーション・チェックが不可欠である。本研究では,未観測な交絡因子が存在していても,介入に対する心理状態を測定するマニピュレーション・チェック変数の効果を正しく推定できる手法を提案する。そして,提案手法の方がrctよりも大きな効果をもたらすことを数学的に示し,シミュレーション分析で確認する。そもそも消費者研究の焦点は介入自体の効果ではなく心理状態の効果であること,この状態を測定した変数がマニピュレーション・チェック以外に利用されずに脇役となっていること,因果効果がより大きくなること,過去の消費者研究において行われていなかったこと,を鑑みると提案手法が消費者実験の代替的な分析枠組みとなる可能性を秘めている。
Makoto Abe (Thu,) studied this question.