情動知能は,感情と知能を統合的に扱う概念として,これまで研究・実践の両面から高い関心を集めてきた。その一方で,概念の曖昧さや測定の困難さを背景に,多くの課題や限界が繰り返し指摘されてきたのも事実である。本講演では,これらの課題を乗り越えるために,特に情動知能の対人的側面に焦点を当て,講演者が取り組んできた一連の理論的・実証的研究を報告する。なかでも,「個人差心理学」の枠組みの下で情動知能を捉えるのではなく,「感情科学」の枠組みの下で情動知能を捉えるという視点の転換が,情動知能研究の再構築へと結びつくことを提案する。「感情科学」の枠組みの下で情動知能を捉えるとは何を意味するのか,そしてこの発想の下でどのような研究の展開が新たに可能となるのかについて,人工知能や倫理学との学際的接点を視野に入れた講演者の最近の取り組みも交えて紹介する。
Nozaki et al. (Wed,) studied this question.