76 歳,女性。初診 4 カ月前より両足背に疼痛を伴う紅色局面が出現し,前医でプレドニゾロン内服治療が開始されるも難治で当科を紹介された。血液検査では貧血と低アルブミン血症とともに未治療の糖尿病が発覚した。初診 1 カ月後に両大腿,膝関節に皮脂欠乏様の網目状紅斑が出現し拡大した。病理組織では表皮上層の壊死,空胞変性様の所見,膿瘍の形成を認め壊死性遊走性紅斑(necrolytic migratory erythema:NME)と診断した。血中グルカゴン値は軽度高値で,造影 CT では膵尾部に多血性腫瘍および多発肝転移,胸腹水が指摘され,グルカゴノーマとその多発肝転移と診断された。さらに血中のアルブミンおよび亜鉛の低下を伴い栄養障害もみられた。NME と診断された後に全身状態は急速に悪化し,内科で対症療法を行うも初診の 4 カ月後に逝去した。NME はグルカゴノーマに伴うデルマドロームとしてよく知られる疾患で,皮疹以外の症状は非特異的で治療に難渋することが多い。グルカゴノーマを合併せず栄養障害のみで発症する NME も近年多数報告されており,NME の本態は血中アミノ酸欠乏による表皮蛋白合成障害と考えられる。本症例は状況的に切除不能なグルカゴノーマを合併していたが,血清アルブミンおよび亜鉛の顕著な低下も併存したため,栄養障害で発症した可能性も否定できない。
AKASAKI et al. (Wed,) studied this question.