現在において豪雨頻度が低い東北日本北部に位置し,最終氷期に寒冷気候下で地形形成が行われた北上山地中部,および火山麓の段丘面が発達する下北半島北部で近年発生した土砂災害について,第四紀研究の視点から検討を行った.北上山地では,2016年8月の豪雨時には,流域に顕著な崩壊がないような沖積錐上において,高密度洪水流による土砂移動・堆積がみられた.これらは,沖積錐の堆積物から推定される完新世の斜面プロセスとは異なるものであると推定された.下北半島北部の2021年豪雨では,段丘化した火山麓扇状地の段丘崖上部において崩壊が多発した.これは,透水性の異なる地層が重なった火山麓扇状地の堆積物が存在していること,さらに火山麓扇状地末端に分布する急な遷急線が,地中水を地表へ噴き出しやすくしているという,段丘化した火山麓扇状地特有の地形条件に起因するものと考えられる.本稿で示したような地形発達を考慮した豪雨災害の研究の蓄積は,防災・減災に関する重要な資料を提供することにつながると考えられる.
Koiwa et al. (Thu,) studied this question.