要旨 【背景】 鈍的胸部下行大動脈損傷に対する治療としてTEVARの選択が増加している。Hybrid ERでは診断,治療方針決定,TEVAR施行,合併損傷の出血制御までをシームレスに行うことが可能であり,潜在的な有効性が期待されるが,十分なエビデンスはない。本研究は2013年3月から2024年11月に当院Hybrid ERで初期治療を受けた鈍的胸部下行大動脈損傷の手術症例8例を対象とし,その臨床的特徴に関して記述疫学的評価を行うことを目的とした症例集積研究である。 【症例】 全例が鈍的外傷で,5例が直接搬送であった。年齢中央値は56歳,7例が男性,損傷部位は大動脈峡部6例,胸部下行大動脈2例であった。全例にTEVARを施行し,うち3例はHybrid ERで施行された。Shock Index中央値は0.8,ISS中央値は44,院内死亡は1例であった。特にHybrid ERでTEVARを施行した3例のうちの2例は循環動態不安定な重症鈍的胸部下行大動脈損傷であったが,超早期にTEVARを施行し,救命が可能であった。 【結語】 症例数が少数であるため,循環動態不安定な重症鈍的胸部大動脈損傷に対してはHybrid ERにおけるTEVARが有効であるという仮説の妥当性を示すことはできないが,今後の重要な研究課題であると考えられる。
啓志 et al. (Mon,) studied this question.