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ステンレス鋼は,耐食材料としての本来の使い方にお いては炭素鋼や低合金鋼のように腐食に起因した水素侵 入は起こりにくいため,水素脆化が大きな問題となるこ とは少ない.しかし,高圧の水素ガス環境において金属 材料は水素脆化を起こすことがある.この場合は腐食に 起因した水素脆化ではないため,耐食性に優れるステン レス鋼といえども水素脆化の危険性を有する. 高圧水素ガス環境における金属材料の脆化現象は水素 環境脆化 (Hydrogen Environment Embrittlement, HEE) と呼ばれ,古くは NASA が 1960 年代後半に水素貯蔵タ ンクにき裂を生じる事故を経験し,これを契機に各種金 属材料の脆化特性を体系的に調査した研究が知られてい る1).また近年では来るべき水素社会構築のため,燃料 である高圧の水素ガスを製造・輸送・貯蔵するための技 術開発が各国で進められているが,金属材料の高圧水素 システムへの適用可否の判定には水素環境脆化に対する 耐久性評価が不可欠である.日本では 2003 年度に国家 プロジェクト「水素安全利用等基盤技術開発」水素用材 料基礎物性の研究が新エネルギー・産業技術総合開発機 構 (New Energy and Industrial Technology Development Organization, NEDO)により開始され,98 MPaまでの高 圧水素ガス中の引張試験や疲労試験を可能とする種々の 設備が導入され,高圧水素ガス環境における各種金属材 料の機械的特性評価研究が始められた.2005年にこのプ ロジェクトの材料評価研究は「水素社会構築共通基盤整 備事業」に継承され,規制再点検や標準化のための多く のデータが採取された2)-4). ステンレス鋼は燃料電池自動車や水素供給ステーショ ンで使用される水素燃料タンクや配管,バルブ類などに 不可欠の素材であり,上述のプロジェクトにおいても多 くの評価研究がされている.本稿ではこれらの知見を中 心に,ステンレス鋼の高圧水素ガス環境における最近の 水素脆化研究について,化学組成の影響,水素吸収の影 響,疲労特性の観点から概説する.
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Omura et al. (2011) studied this question.
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