著者らは有機陰イオンを有色の金属キレート陽イオンとともに有機溶媒に抽出して,有機相における金属キレートの吸光度を測定することによって当該陰イオンを比色定量する方法について一連の系統的な研究を行なっている.本報はその一環として,トリス(1,10-フェナントロリン)鉄(II)キレート陽イオンを用いるサリチル酸の抽出吸光光度定量法を検討したものである.トリス(1,10-フェナントロリン)鉄(II)キレート陽イオンは微量のサリチル酸陰イオンとともにニトロベンゼンに抽出され,516mμに極大吸収を示す.pH5.5~9.5の範囲において,トリス(1,10-フェナントロリン)鉄(II)キレート陽イオン濃度がサリチル酸に対して50倍モル以上であれば,最大一定の抽出が得られ,また水相中のサリチル酸濃度が8×10-6~4×10-5Mの範囲でベール則に従うことがわかった.共存物質として食品衛生法でその使用が許可されている合成保存料,入工甘味料,サリチル酸類縁化合物などについて,それらの影響を検討したところ,サッカリン,サイクラミン酸ナトリウムは正誤差を与えるが,デヒドロ酢酸,安息香酸,ソルビン酸などの保存料は5~30倍モル存在しても影響しないこを認めた.この方法を市販清酒中のサリチル酸の定量に応用した結果,公定法の紫外吸収法による定量結果と良好な一致を示した.
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Yamamoto et al. (1969) studied this question.