【目的】わが国では終末期医療に関しての法整備が不十分であり,様々な機関から終末期医療に関してのガイドラインが示されている。しかし,ガイドラインは曖昧さが目立ち十分な内容とはいえない。院外心肺停止患者の蘇生処置の過程で,終末期のdo-not-attempt-resuscitation(DNAR)のリビング・ウィルが判明することがあるが,現状ではどの時点で治療の中止や差し控えを考慮すべきか明確な基準がなく,蘇生処置に引き続き集中治療まで行われることもしばしばある。院外心肺停止患者のDNARの現状と問題点を明らかにする。【対象と方法】2009年4月から2010年3月までの1年間に聖路加国際病院救命救急センターへ搬送された院外心肺停止患者について,診療録より後方視的に検討した。【結果】対象は304例であり,DNARのリビング・ウィルの有無について確認されたのは126例であった。このうち29例(23.0%)がDNARのリビング・ウィルを残していた。29例の約4分の1に相当する8例が自己心拍再開(return of spontaneous circulation: ROSC)し, 本人の意に反して蘇生処置とそれに引き続く集中治療を行われる結果となった。1例は神経学的後遺症を残さずcerebral performance category(CPC)1で退院したが,1例は急性期を乗り越え植物状態として安定化しCPC4で転院した。【結論】終末期医療に関しての法やガイドラインが十分に整備されていない現状では,終末期のDNARのリビング・ウィルを持つ心肺停止患者も治療の対象となりうる。望まぬ治療が行われた末に,尊厳を損ねた状態で生存する可能性もある。このような不幸な状況を回避するためにも,心肺停止患者の予後を適切に予測できる方法が確立されることが期待されるとともに心肺停止自体を終末期と考えうるか国民全体で考える必要がある。国民全体の共通認識のもとに終末期医療に関する法やガイドラインを早急に整備することが重要である。
No takes yet. Share an insight, caveat, or question.
Tatsuma Fukuda (2012) studied this question.
Synapse has enriched 3 closely related papers on similar clinical questions. Consider them for comparative context: