実用されている有機酸無水物硬化エポキシ樹脂の硬化過程での化学結合の変化に関し,既報では赤外吸収スペクトルを用いて追跡したが,酸無水物の変化のほかは定量的に明らかにすることはできなかった。ここでは化学分析により定量的に明らかにした。試料はエピコート#834とシスシクロヘキサンジカルボン酸無水物をエポキシ基:酸無水物=1:0.9molの割合に配合し, 130℃で硬化させた。ゲル化前の試料は溶液とし, ゲル化後の試料は微粉末として分析した。エポキシ基と酸無水物の残量率の対応から硬化反応は3段階にわけられる。初期ではエポキシ基は13.5%しか消費されないのに対し,酸無水物は44.8%消費され,多量のモノエステル(カルボキシル基)が生成する。中期ではエポキシ基と酸無水物はほぼ同程度の速さで消費され,急速にジエステルが生成し,樹脂は硬化する。この間カルボキシル基の濃度はほぼ一定である。中期までに,エポキシ基は56.3%しか消費されていないのに対し,酸無水物は87.7%消費されている。後期においてエポキシ基の消費は酸無水物よりも著しく,ジエステル結合の生成に15%が,またエーテル結合の生成に28%消費される。一方,エポキシ樹脂のアルコール性水酸基は,初期に急速に減少し,中期にはほとんど消滅し,後期に再び現われる。これは赤外吸収スペクトルからも明らかである。
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Akio Shimazaki (1964) studied this question.