門脈圧亢進症に発達する肝外副血行路のうち,食道周囲静脈叢から肺静脈に至る門脈肺吻合血流は,右心,肺毛細管を通らないので,動脈血酸素飽和度を低下させる可能性があり,肝硬変症にみられる動脈血酸素飽和度低下の有力な原因の一つに考えられている.この当否を検討するため,新たに85KrおよびT-1824色素の脾内および末梢静脈内注入による門脈肺吻合血流の定量的測定法を創案し,対照7例と肝硬変症11例を含む門脈圧亢進症14例に実施した.対照7例はいずれも0に近い値を示したが,門脈圧亢進症14例中2例の肝硬変症は14%および11%の門脈肺吻合血流率を示し,他の3例は対照より僅かに高い値を,残る9例は対照の棄却隈界内の値を示した.また門脈肺吻合血流率と動脈血酸素飽和度との間には有意の相関がみとめられなかつた.すなわち明らかな門脈肺吻合血流を示す頻度は比較的低く,またその量も少なく,かつ動脈血酸素飽和度との間には有意の相関もみとめられないので,門脈肺吻合血流は肝硬変症にみられる動脈血酸素飽和度低下の原因としてあまり大き意義を有していないと思われる.
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Teizo Tazawa (1965) studied this question.