固体酸触媒としてのゼオライトは,従来の無定形シリカ,アルミナあるいは活性白土触媒よりも多くの反応において高い活性を示す一方,ゼオライトが持っている固体酸性は,プロトンあるいは金属カチオンと共存するカチオンの量と種類によっても影響を受けることが明らかにされている。そこで,著者らもこのようなゼオライトが持っている酸を利用し,モノテルペン炭化水素類である4-リモネン[1],2-ピネン[2],2(10)-ピネン[3],カンフェン[4]およびトリシクレン[5]の水の存在下における水和反応について検討した。その結果,[1]の場合にはフェリエライト形ゼオライトであるHSZ-710HOA合成ゼオライトを用いた反応において,4-ヵルボン[8]を主成分として得ることができた。また,[2]の場合においてもHSZ-710HOA合成ゼオライトを用いた反応においてα-テルピネオール[7]を主成分として得ることができた。一方,[3]の場合には天然ゼオライトである2020AH(モルデナイト型)ゼオライトを用いた反応において,trans-ベルベノール[11]を最高71%の生成比で得ることができた。つぎに,[4]および[5]の場合には助触媒として塩化亜鉛あるいは水酸化アルミニウムを添加し,Y型ゼオライトに属するHSZ-330HUA合成ゼオライトあるいはモルデナイト型ゼオライトに属するHSZ-620HOA合成ゼオライトを用いた反応において,イソボルネオール[16]とn-ボルネオール[17]の2成分のGLC組成比が2:3あるいは1:1の割合になることがわかった。このように,基質の構造によりそれぞれのゼオティトの組合せを考慮することにより,生成物の選択性に大きな相違が認められるなどの新しい知見を見いだすことができた。
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Nomura et al. (1992) studied this question.