軽油中に含有される難脱硫性硫黄化合物4,6-ジメチルジベンゾチオフェン (4,6-DMDBT) をn-デカン中, 270°C, 水素圧2.5MPaでNi担持Y-ゼオライト (Ni-HYゼオライト) を用いてメチル基の異性化反応を行い, 引き続き中間体であるアルキルジベンゾチオフェン類 (Cx-DBT) を同反応条件でCoMo/Al2O3で脱硫し, それらの脱硫反応速度を算出した。また, 反応中間体の構造を決定するため, 数種類のアルキルジベンゾチオフェン類を合成した。このようにして構造決定できたアルキルジベンゾチオフェン類の脱硫反応速度の実測値と, 分子軌道計算で得られた硫黄原子上の電子密度との関係を考察し, ゼオライトによるメチル基転位反応が難脱硫性硫黄化合物の脱硫反応性に及ぼす影響を調べた。Ni-HYゼオライトによる異性化反応で生成した側鎖炭素数1~4のアルキルジベンゾチオフェン類は, 脱硫反応速度の違いにより以下の4グループに分類できた: 4,6-DMDBT (グループI)<4-MDBT, 3,6-DMDBTおよび未同定のC3-DBT類 (グループII)<2,3,4-トリメチルジベンゾチオフェン, および未同定のC3-DBT類 (グループIII)<2,8-DMDBT, および未同定のC1-DBT (グループIV)。これらの化合物の硫黄原子の非結合電子軌道 (Sσn軌道; 分子平面方向) は脱硫反応速度と良い相関を示した。また, このSσn軌道の電子密度は, 4,6-ジメチルジベンゾチオフェンのメチル基が4-位あるいは4,6-位から移動するに伴って増加した。分子軌道の解析から, アルキルジベンゾチオフェンの硫黄原子が触媒活性点に最接近する場合, 硫黄原子のSσn軌道の断面積は4,6-DMDBTの11Å2から, 4-MDBTで20Å2, DBTで42Å2まで増加した。これらの知見から, 4,6-ジメチルジベンゾチオフェンの脱硫反応におけるゼオライトの役割は, メチル基を転位させて硫黄原子近傍の立体障害を解消し, 硫黄原子と触媒活性サイトとの接近を容易にするとともに, 硫黄原子の脱硫活性サイトへの配位を促進することであると結論した。
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Isoda et al. (1998) studied this question.