骨や歯の硬組織の主体をなすカルシウムヒドロキシアパタイト (Ca-HAp) の無機酸や有機酸に対する溶解性や, その溶解性に対する微量無機成分の影響などの基礎的研究として, Ca-HApおよびカドミウム, 鉛のヒドロキシアパタイト (Cd-HApおよびPb-HAp) を合成し, これらの溶解性を検討した。さらに, Ca-HApについては種々の有機酸における溶解量を測定し, 有機酸のCa2+錯体の安定度定数とCa-HApの溶解量の関連性を調べた。その結果, (1) 化学量論的な組成でしかも結晶性の良いCa-HAp, Cd-HApおよびPb-HAp合成し, その無機酸に対する溶解度から熱力学的溶解度積を求めた。Ca-HAp, Cd-HApおよびPb-HApについてそれぞれ115±0.3, 128±0.7および158±0.4の溶解度積を得た。ここでCd-HAp, Pb-HApの合成および溶解に関して, その生成のpH範囲を詳細に検討したところ, Cd-HApについては37-60℃ではCd5H2 (PO4) 4 (H2O) 4中に微量生成し, 80℃以上になると中性付近ではじめて単一の相として沈殿した。Pb-HApは温度に影響なくpH3-12の範囲で生成した。(2) 有機水溶液中のCa-HApの溶解量とCa2+錯体の安定度数の関係を調べるために, 一塩基酸から二塩基酸, 三塩基酸およびオキシカルボン酸までの直鎖有機酸の種類および溶液のpHを系統的に変えて検討した。その結果, Ca-HApのカルシウムおよびリンの溶解は多くの有機酸水溶液中, pH4~6.5の範囲で下記の式に従うことがわかった (ただし, リンゴ酸, 酒石酸, クエン酸を除く) 。l・log〔Ca2+〕total・〔OH-〕2/1+KcaA・〔An-〕+m・log〔H+〕・〔P〕total=const.ここで, KcaAは有機酸とCa2+の錯体の安定度定数, 〔An-〕は有機酸イオンの濃度である。
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Tsutomu Fujihara (1988) studied this question.
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