転移性甲状腺癌は,血行性やリンパ行性転移による二次性の悪性腫瘍であり,頻度が低く,その原発巣としては腎癌や肺癌,乳癌が多い。大腸癌治療ガイドラインでは,血行性転移の治療方針として,切除可能な場合は切除を考慮するとされている。今回われわれは,直腸癌の甲状腺,頸部リンパ節転移に対し手術加療を行った1例を経験した。症例は50歳代の男性。右頸部腫脹を主訴に当科を受診した。X−3年に下部直腸癌に対し腹腔鏡下直腸超低位前方切除術が施行された。術後化学療法を行うも,X−2年に肝転移を認め切除術を施行,X年に右頸部腫脹を認めたため,画像検査を施行したところ右頸部リンパ節腫脹,右甲状腺腫瘍を認め当科に紹介となった。頸部超音波検査で甲状腺右葉に25 mm大の充実性腫瘤を認め,右頸部にも腫大したリンパ節を認めた。穿刺吸引細胞診で転移を疑う所見であったため,甲状腺右葉切除術および右頸部リンパ節郭清術を施行した。術後に病理で直腸癌からの転移と確定診断された。転移性甲状腺癌に対する手術加療は局所進行による嗄声や気道閉塞,嚥下困難などを回避するために有用であると考えるが,本症例では術後早期に郭清野内の頸部リンパ節再発を認めている。細胞診で転移性甲状腺癌を示唆された場合には,原発病変の経過や状況を考慮し,患者本人と十分に相談して方針を決める必要があると考える。
Matsuno et al. (Tue,) studied this question.