言語モデルが文の容認性を正しく判断するには,どのような特徴を持つどれほどの量のデータを訓練する必要があるだろうか.本研究では,昨今の言語モデルが人間と比べてデータ効率の面で改善の余地を残している点に着目し,言語モデルが間接的なデータ(間接証拠)から文の容認性を判断できるかを調査する.人間は言語獲得において,間接証拠を効果的に活用していると考えられており,効率的な学習を可能にする帰納バイアスの一つと考えられている.本研究では,Wug InDirect Evidence Test (WIDET) というデータセットを作成した.WIDETは,事前訓練データに挿入する訓練事例と,それに対応する評価事例から構成される.未知の擬似語 (wug) を含む人工的な訓練事例を事前訓練データに挿入し,それらの語に関するモデルの文法知識を評価事例を用いて分析した.訓練事例は,間接性の程度および頻度が様々な文から構成される.実験の結果,ある言語現象において,訓練事例と評価事例が語彙のみが異なり構造は一致していたにもかかわらず,モデルは繰り返しの提示を経ても文法知識を獲得しないことが明らかとなった.この結果は,言語モデルが間接証拠を活用して文法知識を獲得する能力に潜在的な課題があることを示唆しており,より人間のように間接証拠を利用可能なモデルの設計が,データ効率に重要な方向性となる可能性を示している.
Oba et al. (Thu,) studied this question.