食品の栄養・官能特性・機能性はこれまで別々に研究が進められてきた。苦味・渋味を呈するポリフェノールは, 顕著な生体調節作用を示すものの, 生体利用性が低いことから作用メカニズムは不明であった。近年, 消化管に発現する苦味受容体 (T2R) が, 耐糖能改善作用や中枢性食欲抑制作用に寄与することが明らかとなった。そこで490種類のポリフェノール化合物とT2R48の相互作用を分子ドッキングシミュレーション法によって解析したところ, 多くのポリフェノールが高い親和性を示すことに加え, 構造活性相関解析によって相互作用に必要な化学的特性が抽出された。渋味はポリフェノール特有の官能特性であるがその認識機構は不明である。我々は渋味化合物であるフラバノールが生体にとってストレッサーとなり, 脳機能を活性化し引き続き交感神経活動を亢進することで, 循環系や代謝系に有益な作用をもたらすことを確認した。また渋味ポリフェノールが, 口腔や腸管といった中性pHにおいて活性酸素を産生し, 産生された活性酸素が消化管感覚神経上の侵害受容器TRPチャネルを活性化して, 中枢へと刺激が伝達される経路が推定された。一連の研究で我々が見出した食品成分の官能特性が中枢に伝わり, 遠心性神経を介して機能性を発現させる現象を“感覚栄養学”と定義した。
Naomi Osakabe (Thu,) studied this question.