我が国では高齢化とともに未婚者の増加が進行しており,独身者が親の介護を一人で担うシングル介護が社会問題化している。シングル介護者の経済的な脆弱性については先行研究で多数指摘され,シングル介護者のワーク・ライフ・バランスを保つこと,すなわち介護と仕事の両立の重要性が示されている。本稿ではシングル介護者が介護離職をした場合には経済的な破綻を招く蓋然性が高いという仮説を定量的に明らかにすることを目的とする。特に本稿では現役世代の中でも親の介護のリスクが高まる40歳,50歳代の中年期に注目する。シミュレーションの結果,シングルはシングル以外に比べ脆弱性が高いことが確認された。その主因はシングル介護の際に介護離職をすることであり,低所得世帯でなくとも介護離職をすると老後に経済的破綻を招く蓋然性が高いことが確認できた。よってシングル介護者は現在経済的に問題がない世帯であっても介護離職をするべきではないと本稿では主張する。
Yutaka Taniguchi (Mon,) studied this question.