(1) ハイドロールより酒石酸を製造する目的で,次の条件下にハイドロールを硝酸酸化した.すなわち,触媒としてメタバナジン酸ソーダ(4水塩)を0.001~0.01%添加,硝酸対原料のモル比6,硝酸濃度43~60%,反応温度16~85°,反応時間2~88時間.その結果得られたD-及びラセミ酒石酸の合計最高収率は,理論値の32.2%であり,比較実験として行ったグルコースの硝酸酸化におけるこれらの合計最高収率は32.6%であった.又いくつかの実験例において,メソ酒石酸が僅少量副生することが認められた. (2) 比較実験としてd-saccharic acid及び3種の酒石酸を同様に硝酸酸化した結果, d-saccharic acidは穏和な条件下でD-及びメソ酒石酸を与え,苛酷な条件下ではラセミ酒石酸をも副生することを認めた.又3種の酒石酸はいずれも容易に修酸に分解するが,メソ酒石酸が触媒量の増大に対して,最も不安定であるのが観察せられた.従ってハイドロールより酒石酸を製造する際には,一度生成した5-ケト-D-グルコン酸の他にd-sac-charic acidの酸化分解もD-及びラセミ酒石酸の生成に影響を与えるが,それほど収率を向上せしめえないものと推定した,又ハイドロール又はグルコースよりのメソ酒石酸の生成はおそらくd-saccharic acidを経由するが,主生成物ではないであろう. 終りに本研究を行うに当り終始御懇篤なる御指導を賜わった住木諭介先生に深甚なる謝意を表する.
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Shigeo Kiyooka (1961) studied this question.