日本人歯列弓形態のフーリエ解析を行った。累積寄与率は, 第2周波数までに90%以上が得られ, 歯列弓形態は第1周波数まででほぼ再現することが可能である。フーリエ級数の定数は歯列弓の大きさ(面積)を表す。定数と歯の大きさ(近遠心径)の相関は, いずれの歯においても有意であり, 特に, 上下顎ともに犬歯および第1大臼歯で著しい。このことは, 歯の中で犬歯および第1大臼歯が歯列弓の大きさを代表するものであることを示す。定数項を基準化し, さらに同一周波数におけるcosine波とsine波を合成して得られる振幅は, 歯列弓の大きさとは無関係な形の特徴を表す指標となる。第1周波数の振幅は, 歯列弓全体の幅径と長径の比率を表す。このことは, 主成分分析の結果からも明らかであり, これは形の変異現象の約50%を占める。第2周波数の振幅は, 臼歯列の平行性あるいは前歯列の方形度を表す。第1および第2周波数の振幅を用いてクラスター分析を行い, 得られた各クラスターを代表する歯列弓の典型例を比較すると振幅と主成分との対応関係が認められるこのことは, 振幅が歯列弓の形の変異を表すのに適していることを示す。上下顎間の定数および振幅の相関は男女ともに比較的高いため, 歯列弓形態は上下顎間で平均的には良く調和していると考えられる。しかし, 男子の相関係数は女子のものよりも高い傾向を示し, 男子の上下顎における歯列弓の形の類似性は女子よりも高いと考えられる。このことは, 主に犬歯部長径の上下顎問の相関が男女で著しく差のあるためと思われる。歯列弓の形と歯の大きさとの相関に有意なものは少ない。このことは, 歯列弓の形が歯の大きさとは独立な関係にあることを示し, むしろ顎骨の形態や機能的な要因に大きく依存していることを示唆する。
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Mitsuo Sekikawa (1986) studied this question.
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