示差熱分析によって固相転移を動力学的に考察するために,その実験条件の検討,転移速度式の導出を行ない,γ-Fe2O3→α-Fe2O3転移の場合について各温度での転移速度定数および活性化エネルギー,逆反応の活性化エネルギー等を求めた。分析容器の一方には,γ-Fe2O3:NaCl=3:1(試料層) , 他方にはα-Fe2O3:NaCl=3:1(標準層) の重量比で, 共に300mgとると,両層および転移前後での比熱,熱伝導度がほぼ等しくなり,転移速度式が導出できる。断熱制御状態で示差熱分析図形をとり,これから転移による発熱の全面積A,各温度まで囲んだ面積a,各温度での勾配dΔT/dt高さΔTなどを求め,固相転移がdn/dt=knl(1-n)に従うものとすると,転移速度定数kは次式から得られる。自触作用を表す羃l を0,1,3/4,2/3,1/2 と仮定し,kのArrhenius点綴を行なうと,l=2/3の場合のみが直線性を満足し,転移がdn/dt=kn2/3(1-n)に従うことが確認された。その活性化エネルギー,逆反応の活性化エネルギーは,おのおの20.9,25.5kcal/molで,この値は粉末法X線回折によって常法に従って求めえ活性化エネルギー23.9kcal/molとほぼ一致し,示差熱分析による検討の妥当性が立証された。
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輝一郎 et al. (1963) studied this question.