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非重症型血友病Aの一部では,凝固第VIII因子(FVIII)活性が抗原量に比して低下するcross-reactive material-positive(CRM+)表現型を示す.本研究では,中等症血友病A患者においてCRM+表現型を呈する新規FVIII-Lys1693Asn(K1693N, FVIII-Nara)変異を同定し,その機能異常の分子機構について検討した.トロンビンによる開裂部位であるArg1689のP4’部位に位置するLys1693に着目し,FVIII-K1693Nを遺伝子組み換えにより作製し,トロンビンによる活性化および開裂反応を解析した.さらに,Arg372近傍のP4’部位に位置するLys376についても同様に解析を行い,部位依存的な機能の違いを検討した.その結果,K1693N変異はArg1689におけるトロンビンによる開裂を遅延させ,FVIII活性化を著しく障害することが明らかとなった.一方,K376N変異では開裂反応自体は保たれるものの,活性化後のFVIIIaの安定性が低下していた.これらの結果は,P4’部位が切断効率および活性分子の安定性という異なる側面からFVIII機能を制御していることを示唆した.さらに本研究では,生化学的解析に加えて分子構造モデル解析を統合することで,観察された機能変化を構造的変化として一貫して説明可能であることを示した.このような機能解析と構造解析を組み合わせたアプローチは,凝固因子変異の機能評価における有用な解析手法となり得る.
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