ヒトのウ蝕象牙質はフクシンのプロピレングリコール溶液によって可染性の表層 (第1層) と不染性の深層 (第2層) に区別される。これら2層の生理的再石灰化の機能を生化学的に確認するため, 各々の有機基質を分離し, そのカルシウムイオン結合能ならびにin vitro石灰化誘導能を測定した。カルシウム結合能は, 第1, 第2層とも, 高親和性のカルシウム結合部位 (結合定数K=3~4×104M-1) と低親和性の結合部位 (結合定数K=3×102M-1) との2種類が存在することがわかった。第2層の高親和性カルシウム結合部位の数 (11モル/モル・コラーゲン) は第1層 (6モル/モル・コラーゲン) に比較して2倍近くの高い値を示し, 健全象牙質のそれ (10モル/モル・コラーゲン) に匹敵することを見出した。各層のアミノ酸組成に差はないので, 中性糖の含有量を測定したところ, 第2層は健全層の約2倍であったのに対し, 第1層は9倍もの中性糖を含むことがわかり, 多量の糖の混在は両層のカルシウム結合能と染色性に関連すると推定された。さらにDe Stenoらの条件で, 各層の有機基質のin vitro再石灰化率を比較測定した結果, 健全層は未脱灰ウシ象牙質のミネラルの49%再石灰化したのに対し、ウ蝕象牙質は一段と低い再石灰化率を示したが, 第2層 (5.3%) と第1層 (1.7%) の問には明らかな有意差が認められた。以上の結果からウ蝕象牙質第2層は健全象牙質に近いin vitro再石灰化の潜在能をもっているのに対し, 第1層はこの性質がきわめて低いことが確認された。この結論は, 第1層と第2層に関する従来の形態学的, 生化学的所見ならびにin vivoでの生理的再石灰化の実験結果とよく一致した。
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Chioko Higashi (1979) studied this question.
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